進化する戦隊ヒーロー特集、21世紀編

ゴーカイジャーVSギャバン

逮捕されます

ゴーカイジャーの本分は海賊、つまるところ純粋培養された正義の味方とは言いがたく、根底には各々の目的を持つものの、基本宝があるかないかで彼らの行動原理は変わります。無論正義を愛しているからこそ戦隊ヒーローなわけですが、彼らの在り方に疑問を抱いて自分たちの力を貸し与えるレンジャーキーの譲渡を躊躇った歴代のヒーローも少なくありませんでした。最終的には正義を愛する心に偽りなしとみなして譲渡するわけですが、それはそれで安易に信じ過ぎではないのかと思ったこともない。

最終回を迎えた後は地球から旅立ってまだ見ぬ宇宙のお宝を探して旅に出る、そんな幕引きだった。ザンギャックとの戦いはまだ続くけれど、海賊としての彼らを追う影はまだあります。誰かというと、他でもない警察だ。それも銀河警察と、かつて放送された特撮ヒーローの作品で人気を博した『宇宙刑事ギャバン』と実は世界観がリンクしているのだ。それもそのはず、海賊団のゴーカイレッドはかつてギャバンと邂逅したことがあるというから、まさかの事態と言えるでしょう。

そう、そんなゴーカイジャーとギャバンが対決する映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が2012年に公開されている。

ゴーカイジャーとギャバンという組み合わせ

ゴーカイジャーはともかくとして、まさかのギャバンに子供を持っている世代の親でも、知っている人にすれば驚きを隠せなかったはず。そもそも公開当初の子どもたちにすれば、『ギャバンって何?』となるケースが大半だろう。なにせ30年以上前に放送されていた作品ですから、今の子が知っているとしたらよほど親から戦隊ヒーローの面白さを伝授されていないと、中々見ようとは思わない作品といえる。

それでも劇場版として公開されたのは、同年にギャバンの映画が公開されるためのプロモーションだったといえます。1月公開に対してギャバンは10月と随分後の話になりますが、宣伝効果としては充分あるといえます。当時のファンはもちろんですが、ゴーカイジャーとのVS映画を見てから興味があるとして、親に頼んで連れて行ってもらったという子供も少なからずいたでしょう。と言っても、ギャバンについて知らないという可能性も否定できなくはありませんが。

映画の内容では。

この映画でゴーカイジャーとギャバンも最初は対立関係にあります、ですがゴーカイジャーの在り方を考えればギャバンの登場はごく自然な事といえます。片や宇宙を股にかける賞金首の揃った犯罪集団、片や銀河全体の治安維持活動に命をかける正義の味方である宇宙刑事のギャバンでは、理念が全く違います。同じ正義の心を愛するヒーローと言っても、あまりに理想や主義・主張に隔たりがあるのは言わなくても分かるはず。

事実、作中では戦って一度は逮捕されるというありそうな展開を見せているのでなんとも言えなくなる。

子どもたちからすれば

しかしゴーカイジャーファンの子どもたちからすれば、突然ヒーローを逮捕するギャバンのことは問答無用で『悪者』と認定されてしまうだろう。いいことをしているはずなのに悪党とみなされる理不尽さ、これもある意味狙いだったのかもしれません。悪い印象を最初に植えつけた後にゴーカイジャーを助けるなどて華麗な活躍を魅せている。そんなギャップのある行動を演じさせられれば、好きにならないわけがない。

ただ一度植えつけた印象を変革させることの難しさほど難解なものはないだろう。

人気という視点では

今作の人気について考えてみると、中々難しい部分がある。なにせギャバンという今の子供達ではわからない、特撮ヒーローが突如現代に舞い戻ってきたのだから、驚きは子供よりも大人の方が大きいはずだ。今になってギャバンか、と感慨深くなる人もいればなんだろうとわからないの一言で済ませてしまう子どもたちもいると思います。

面白ければそれに越したことはないでしょうが、ギャバンの面白さは当時を知らないと伝わりにくそうだ。

進化する戦隊ヒーロー特集、21世紀編